このように清涼飲料水やスポーツドリンクの飲みすぎが引き起こす高血糖の状態をペットボトル症候群と呼んでいます。一気に飲んで発症する急性糖尿病だけがペットボトル症候群ではありません。日々、清涼飲料水やスポーツドリンクを水代わりに飲む習慣を持ち、常に高血糖の状態に陥っている人も同様にペットボトル症候群と呼びます。子供の場合は特に甘いものを好む傾向がありますし、「清涼飲料水は身体に悪い」と思っていても「スポーツドリンクは身体に良い」と勘違いしている人も多く、日常的にスポーツドリンクを水代わりに飲んで糖尿病に陥る子供も増えています。スポーツドリンクは激しい運動時の水分補給やエネルギー補給には大変適した飲み物ですが、家庭内で運動せずに過ごしている状態では糖分の過剰摂取になってしまいます。健康診断の結果で、血糖値が高いとか低いとかいわれて再検査になることはありますが、では正常値がどれくらいなのか?ということはあまり記載されていません。血糖値というのは、一人の同じ人間でも一日の間でかなり変動があります。そもそも血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度をあらわした数値です。食事を取れば血液中のブドウ糖量は一気に上昇しますから、血糖値が上がります。血液中のブドウ糖濃度が下がると、人間は空腹感を感じるようになっていますので、空腹時に計測すれば血糖値は低いというわけです。つまり、一日三食が基本の人間の場合、一日の間で血糖値は何度も上下を繰り返すことになります。一日の間で変動を繰り返す血糖値は、正常値がどれくらいと設定するのが難しいのです。一般的には食後45分~1時間後の一番血糖値があがった時に140mg/dl未満が理想的な数値といわれており、食後2~3時間で食前の血糖値に戻るといわれています。食後2時間後に血糖値が180mg/dlを超えていると血糖値が高いといわれ、140mg/dl以下なら正常と判断されています。一般的に正常値といわれる80~100mg/dlという数値は、空腹時の数値になります。ですから、血糖値に関しては、測定するタイミングが大変重要です。また、血糖値が50mg/dlを下回ると低血糖といわれ、そのまま低下すると危険ですから、70mg/dl以下になったら糖分を摂取する必要があるといわれています。お酒が血糖値をあげるので危険ということは、おそらく殆どの人が知っていることでしょう。ですが、タバコも高血糖の人には危険だということは案外知られていないかもしれません。喫煙の悪影響は肺がんリスクを高めるだけではありません。お酒には糖分が多く含まれているものもたくさんあり、血圧を上げる作用があるのは良く知られていることですが、タバコには直接血糖値に関与する働きはないようです。しかし、タバコには血管を収縮させる働きがあります。妊婦がタバコを吸うと良くないといわれるのは、もちろん、胎児に悪い影響があるからですが、一番大きな問題はタバコを吸うことによって血管が収縮し、胎児に送られる酸素が減ることです。高血糖の人は元々血管が硬くなる傾向があります。ですから、タバコを吸うと、元々硬くなっている血管が更に収縮することになり、血栓ができたり血管が詰まってしまうリスクが高くなるのです。この症状が心臓で起きれば心筋梗塞を起こしますし、脳で起これば脳梗塞です。それらの直接命に関わる部位ではなかったとしても、特に血管の細い手足などの抹消部では起こりやすいので、その先の部分が壊疽してしまい、最悪は手足の切断をしなければならなくなります。このように喫煙は直接血糖値を上げたりする訳ではありませんが、高血糖の合併症を起こすリスクや症状を悪化させるリスクが非常に高くなるのです。高血糖の喫煙者が医師からタバコをやめるようにいわれるのはそのためです。